【設備設計とは?】仕事内容や必要なスキル、将来性をわかりやすく解説

【設備設計とは?】仕事内容や必要なスキル、将来性をわかりやすく解説

設備設計とはどのような仕事なのか、疑問に思う方は多いです。設備設計の役割は、建物のデザインと機能を両立させながらインフラを整えることにあります。本記事では、設備設計の具体的な仕事内容や求められるスキル、将来性について詳しく解説します

設備設計の概要を理解することで、今後のキャリア選択やスキルアップにつなげることが可能です。

設備設計とは建物のインフラを整備する職種

設備設計とはどんな仕事なのかを理解するために、基本的な概要を以下の3つのポイントに分けて解説します。

  • 設備設計の定義
  • 他の設計職との違い
  • 設備設計の平均年収

設備設計の定義

設備設計とは、建物の機能を最大限に発揮させるために、電気や空調、給排水やガスなどの設備を設計する過程のことです。設備設計の主な目的は、以下に配慮した設計を行うことにあります。

  • エネルギー効率の上昇と環境負荷の軽減
  • 安全性と快適性の確保
  • 耐久性とメンテナンス性の向上

上記の目的を達成するには、高度な技術や最新の設備知識が必要です。

他の設計職との違い

設備設計と他の設計職の異なる点について理解しておきましょう。設計職は以下の3つに分けられます。

設備設計
建物の電気や給排水、空調などのインフラ設計の担当です。
意匠設計
建物の外観や内装、空間デザインの設計を行い、美しく仕上げることを目指します。
構造設計
建物の強度や耐震性を計算した上で構造的な設計を行い、安全性を確保します。

設備設計と他の設計職の違いは、建物の快適性や機能性を直接的に支える点です。建物の電力供給や水回りの設備が適切に設計されていないと、どれほど美しい建物でも快適な利用はできません。快適性や機能性を確保するための適切な設計には、細かい技術仕様や法規制への理解が必要です。

施工現場との密接な連携も必要になります。設備設計は、エネルギー効率の高い最新空調システムや再生可能エネルギーの利用など、省エネや環境対策への配慮が求められます。建物や設備の知識に加え、環境問題への理解も求められる点が他の設計職と異なる特徴です。

設備設計の平均年収

設備設計は専門性や需要が高いことから、一般的な平均年収が約500〜700万円と比較的高水準の職種です。地域によって給与水準は異なりますが、大手企業では約800万円以上の年収を得る場合もあります。初年度の年収は約300〜400万円が一般的ですが、ボーナスや資格手当などが充実しています。

他の職種と比べて安定した収入を得やすい職種であることも特徴の1つです。設備設計のプロとして、経験とスキルを磨くメリットは以下のとおりです。

  • 転職市場でも引き合いが強い
  • フリーランスとしても活躍できる
  • 定期的な昇給がある企業も多い

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設備設計の役割

設備設計は、建物の機能性や安全性、効率性を確保する役割があります。設備設計の役割は以下のとおりです。

  • 建物のインフラ整備
  • デザインと機能の両立
  • コストの最適化

上記の役割を理解しておけば、建物の価値を高められます。

建物のインフラ整備

建物の快適性と安全性を確保するためにも、インフラ整備は重要です。主に必要とされるインフラ整備は以下のとおりです。

  • 電力供給システム:安定した電気を供給
  • 給排水設備:スムーズな水の供給と排水作業
  • 空調・換気システム:快適な居住環境の維持
  • 防災設備:火災発生時の被害を抑える
  • 通信インフラ:通信回線への接続
  • エレベーターやエスカレーター:効率的な建物内の移動
  • 建物内外の照明設備:安全で快適な環境作り

近年では、環境負荷を低減する太陽光発電や、雨水利用システムなどのエコ設備の導入も求められています。建物のエネルギー効率を高めることで、持続可能な社会に貢献できるスマートグリッドの設計も重要です。廃棄物処理システムについても考慮する必要があります。

環境への影響を最小限に抑えるために、廃棄物を適切に処理する運営方法の設計が必要です。インフラ整備が適切に行われることで、建物は快適で安全な空間となり、利用者にとって満足度の高い環境が提供できます。

デザインと機能の両立

空間の見た目の良さに加え、ユーザーの利便性を考えることが高い満足度につながる鍵です。使いやすさを考えた設計がなければ、美しいデザインでも実用性に欠けてしまいます。エネルギー効率を高め、環境負荷を軽減するための設計が必要です。

デザインと機能のバランスを保つには、先進技術を導入した上で、使用素材や色彩が設備の機能性を損なわないようにします。長期的にメンテナンスがしやすい構造に設計することも重要です。トレンドを取り入れつつも、普遍的で長く愛されるデザインを目指します。

デザインと機能の両立には、個々の設備の調和やユーザーの意見を取り入れた改善が必要です。

コストの最適化

コストの最適化は、企業や顧客のプロジェクトを効率的かつ経済的に進行させるための要素です。以下の4つの項目がコストの最適化につながります。

  • エネルギー効率の向上
  • 資源の最適利用
  • メンテナンスと予防保全
  • 最新技術の導入

エネルギー効率の向上は、設備設計において重要な課題の1つです。高効率な機器やシステムを導入することで、建物のエネルギー消費量を大幅に削減し、運用コストを長期的に低減できます。資源の最適利用は、限られた資源の活用をするため、結果的に初期投資と運用コストの削減につながります。

リサイクル素材の活用や資源の再利用を推進すれば、環境負荷を低減しつつ経済的なメリットを得ることが可能です。定期的なメンテナンスと予防保全は設備の寿命を延ばし、結果的に故障やトラブルの防止につながります。長期的な視点で見れば、保守・運用コストなどが削減されるため、経済的なメリットを得ることが可能です。

最新技術の導入は、施工計画の効率化やスペースの有効活用を可能にします。初期投資とライフサイクルコストの両方の削減に有効です。設備設計におけるコストの最適化は、方法や施策を組み合わせることで実現できます
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設備設計の仕事内容

設備設計の具体的な仕事内容について理解しましょう。以下の3つの項目に分けて解説します。

  • 具体的な仕事内容と流れ
  • 意匠設計者や構造設計者との関わり
  • 施工者との関わり

具体的な仕事内容と流れ

設備設計の具体的な仕事内容と流れを解説します。下記が1つの案件を進めていく流れです。

  1. 顧客からの要望をヒアリング
  2. プロジェクトの基本計画を立案
  3. 配管、電気、空調などの設備の設計図を作成
  4. CADソフトを使用して詳細設計を実施設計にもとづいて必要な資材を選定
  5. 予算やスケジュールの調整
  6. 設計内容を関係者に説明し、了承の取得
  7. 設計図にもとづいて現場施工を監理
  8. 現場での問題点を解決
  9. 完成後の設備の試運転及び調整
  10. 最終的な品質チェックと引き渡し

設備設計の完成までの流れは以上です。各ステップでの正確さと迅速な対応が、プロジェクトの成功の要素となります。設備設計の仕事は多岐にわたるので、幅広い知識とスキルが求められます

意匠設計者や構造設計者との関わり

意匠設計者とは、建物のデザインに合わせた設備配置を検討する専門家のことです。設備が建物の外観や内装に調和するように設置し、機能性だけでなく見た目も美しく仕上げます。

意匠設計者と連携する理由は、エアコンの配置や照明の位置など、細部に至るまでのデザインと機能を両立させることにあります。意匠設計者との会話を通じて、新しいデザインアイデアが生まれる場合も多いです。

一方、構造設計者とは、建物の構造を設計し、建物の安全性や耐震性を考慮する専門家です。構造設計者と協力しながら、設備の設置が建物の強度や安定性に影響を与えるかどうかを検討します。大型の機械設備を設置する場合、荷重を支えるための補強工事が必要になることを考慮するなど、設計段階での調整が必須です。

他の設計者と定期的なミーティングを行うことで、設計図面の整合性の確認ができます。問題が発生した場合でも迅速に対応可能です。各種法規制や基準の遵守も確認しつつ進められるので、建物全体のバランスを保つのに設備設計が役立ちます。

意匠設計者や構造設計者との連携がスムーズに行われることで、建物の機能性や美しさ、安全性が高まります。他の設計者との連携は設備設計者にとって重要な役割であり、建物全体の品質向上につながる要素です。

施工者との関わり

設計意図が施工者によって正しく反映されているかを確実にするため、設備設計者は施工図の確認と承認が求められます。予定通りのスムーズな完成には、工事の進捗状況を把握し、問題発生時の迅速な対応も必要です。

現場での状況に応じて設計変更が必要な場合、施工者と連携して調整を行います。安全性を確保し、法的な問題を避けるためには、安全基準や規制に基づいた施工が行われているかの確認も重要です。

定期的に現場視察を行い、設計意図が正しく反映されているかの確認も必要です。施工者からの新しい設備の設置方法についての技術的な質問や、材料選定に関する相談に対して助言を求められることもあります。

工事完了後は検査に立ち会い、設計通りに設備が機能しているかの最終確認をすれば完了です。設備設計を成功に導くには施工者の協力が不可欠です。密接なコミュニケーションを心がけましょう。

設備設計に必要な資格

設備設計に必要な資格について解説します。設備設計者になるには以下の4種類の資格が必要です。

  • 建築士:設備設計に必要な最も基本的な資格
  • 設備設計一級建築士:設備設計に特化した資格
  • 建築設備士:建物内の設備に特化した資格
  • 技術士:技術全般に特化した資格

設備設計においては上記の資格を持つことで、より専門的かつ高品質な設備設計が可能になります。

建築士

建築士は、建物の設計や工事監理を行う専門家であるため、建築基準法に基づく資格が必要です。建築士は次の3種類に分けられます。

  • 一級建築士:すべての建築物の設計や工事監理が可能
  • 二級建築士:特定規模の建築物に限定した設計や工事監理が可能
  • 木造建築士:主に木造建築物に特化した設計や工事監理が可能

建築士の試験は学科試験と設計製図試験に分かれており、いずれも合格するには高度な設計能力や法的知識が必要です。特に一級建築士はすべての建築物を扱えるため、より専門的かつ高いスキルが求められます

建築士は常に最新の知識を身に付けるための定期的な講習や研修が義務付けられており、資格取得後も継続的な努力が必要です。企業によっては条件として実務経験が必要な場合もあります

設備設計一級建築士

設備設計一級建築士は、一級建築士の資格を持つ設備設計に特化した専門家です。資格を取得することで、建物の設備設計における専門的な知識と技術を持っていることが証明されます。

設備設計一級建築士が必要な理由は、建物の機能性を支える空調や給排水、電気設備などの設計を正確かつ効率的に行えるためです。他にも建物のエネルギー効率を向上させるための提案や、最新の技術を取り入れた設計なども行えます。

例えば、企業ビルやショッピングモールのような大規模施設では設備設計が複雑であり、専門知識が求められます。設備設計一級建築士は専門職であるため、プロジェクトの規模に関わらず効率的かつ効果的に設備設計を行うことが可能です。

設備設計一級建築士の資格を取得するには、一級建築士を取得後、設備設計に関する専門的な実務経験を積む必要があります。一定の実務経験を積むことで、より実践的なスキルと知識が身につき、設備設計の専門家としてのキャリアを築くことが可能です。

設備設計一級建築士の資格を取得すれば、設備設計の分野でのエキスパートとして認められます。クライアントからの信頼も高まり、より高度な設備設計を任せてもらえます。

環境問題やエネルギー効率の向上が求められる中で、重要な役割を果たすと予想されるのが設備設計一級建築士です。専門知識と技術を持つ設備設計一級建築士の需要は増えます。キャリアの選択肢として魅力的です。

建築設備士

建築設備士は設備設計や設備施工、設備管理など建物の設備全般に関する専門知識を持つ技術者です。建築設備士の資格取得には指定された学歴や実務経験をクリアし、国家試験に合格する必要があります。国家試験は学科試験と製図試験の2つに分けられており、建築物の設備設計に必要な知識とスキルが総合的に評価されます。

学科試験では建築法規や設備計画、構造力学などが問われ、製図試験では設備設計の実践的なスキルが合格に必要です。業務は、建築士や設備設計一級建築士と協力して行うことが一般的です。環境に配慮した設備設計ができるように、エコ技術や省エネ技術の習得も求められます。

建築設備士の資格取得後は設計事務所や建設会社、設備工事会社などで活動するのが一般的です。どの現場においても建築設備士の役割は、建物の性能や安全性を高めるために必要になります。

技術士

技術士は、日本の高度専門技術者資格であり、国家資格の1つです。取得すれば技術士法にもとづく科学技術分野の専門知識と技術能力の証明ができます。技術士試験には一次試験と二次試験があり、21種類の技術部門に分かれています。試験内容は各部門で異なるため、自分の専門分野に応じた準備が必要です。

技術士の資格取得の理由は、専門的な知識と技術力の証明となることで業界内での評価が高まり、キャリアアップに役立つからです。技術士の資格を取得することで、プロジェクトリーダーやコンサルタントなどの責任あるポジションを担うことも可能になります

技術士は、技術士会に所属することで最新の技術や知識を身に付けるための継続教育を受けます。技術者としての信頼性と社会的責任を持つための倫理規定を遵守することも大切です。

技術士の資格は国際的にも認知されており、日本国内だけでなく海外にも活躍の場を広げることが可能です。技術士の資格を取得すれば、より一層のキャリアアップを目指せます。

設備設計に役立つスキル

設備設計を行う上で役立つ3つのスキルを紹介します。必要なスキルは以下のとおりです。

  • 設備や設備設計に関する知識
  • 全体の設備を調整する力
  • 環境に適した設備を想定する力

設備や設備設計に関する知識

設備設計に関する知識は、設計の質を高めるだけでなく、効率的な作業を進めるために設備設計者に不可欠な要素です。設備設計の知識が重要である理由は他にもいくつかあります。

例えば、設備設計の知識なしでは適切な設計ができず、品質向上は望めません。安全性や快適性の確保、法律や規格に適合した設計を行うためにも不可欠です。他にも設備設計の知識を持つことで、下記の設備を効果的に設計・配置できるようになります。

  • 空調設備:HVAC(※)、換気システム、エアフィルタリング
  • 給排水設備:給水システム、排水システム、浄水設備、排水処理設備
  • 電気設備:配電システム、照明設備、非常用電源、エレベーター、エスカレーター
  • 消防設備:スプリンクラーシステム、消火器、煙探知機、非常用放送設備

設備や設備設計に関する知識は設計の質を高めるだけでなく、建物全体の安全性や快適性の向上にも役立ちます

※ HVACとは、Heating,Ventilation,AirConditioningシステムの略称です。

全体の設備を調整する力

設備の全体像を理解し、各設備の相互関係を把握することで、効率的な設計プロセスの進行が可能になります。具体的に必要な調整スキルは以下のとおりです。

  • 設備の配置や設計のバランスを取る力
  • 設計プロセス全体を俯瞰し、調整する力
  • 施工現場での調整や改善対応能力

快適な住環境や業務環境の実現には、建物内の空調や電気設備、配管システムなどが効率的に機能する配置と調整が必要になります。プロジェクト全体の管理やスケジューリングをうまく行うには、意匠設計者や構造設計者との連携は不可欠です。

コミュニケーション力を活かして他職種との調整を図ることが、設備設計の成功へとつながります。施工現場でのトラブルに迅速に対応できる、問題解決能力と柔軟な対応力も必要です。全体の設備を調整する力があれば、プロジェクトの成功にも大きく貢献できます。

環境に適した設備を想定する力

気候や地理条件を考慮して設備を設置することで、建物のエネルギー効率が最大化され、コスト削減にもつながります。具体的な環境に適した設備は以下のとおりです。

  • 断熱性能の高い素材
  • 自然換気
  • 太陽光発電
  • 雨水の再利用

地域の特性に合った設備を提供するには、地元の建築規制や法律に適合することも重要です。地域の文化や伝統を尊重することで、住民からの理解と支持を得ることにつながります

長期的な視点では、メンテナンス性も考慮する必要があります。長期間にわたって高い性能を維持するためには、メンテナンスが容易な設備であることが重要です。環境に配慮した設備設計は、災害リスクへの対応も含めて、快適で安全な暮らしを実現します。

設備設計の魅力と将来性

設備設計の魅力は、専門知識と技術を通じて社会インフラを支えられる点にあります。常に高度な設計スキルと社会的責任が求められるため、自己成長にもつながります。

その他の設備設計の魅力は以下のとおりです。

  • コスト管理や効率化のスキル
  • 経済面での強み
  • チームでのコミュニケーション能力

設備設計は環境に配慮した設計が求められることで持続可能な社会に貢献できる、やりがいのある仕事です。技術の進化が進む中で、常に新しいプロジェクトや課題に挑戦できるため、飽きることなく成長し続けられます

設備設計の仕事は、将来性があります。安定した雇用がありグローバルな視点でのキャリア展開が可能だからです。国内外の需要が高い職種なのが魅力の一つです。コスト管理や効率化のスキルが磨かれ、経済的な安定も実現できます。チームを組んでの仕事が多いことから、コミュニケーション能力も磨かれる点も魅力の1つです。

まとめ

設備設計は、建物の快適性や機能性を支えるインフラを整備する役割を担っています。デザインと機能を両立させながらコストの最適化が求められるため、他の設計職とは異なる職種です。平均年収が高く将来性もありますが、高度なスキルが求められます。設備設計の主な仕事は以下のとおりです。

  • 設計図の作成
  • 関係者との調整
  • 施工管理

設備設計者は、設計図の作成や関係者との調整、施工管理など幅広い業務を担当する職種です。建築士や設備設計一級建築士や建築設備士などの資格は、設備設計の仕事をする上で必要になります

設備設計者には、設備に関する専門的知識や全体の設備を調整する力、環境に適した設備を想定する力も必要な要素です。近年は環境に配慮した設計や省エネ技術の導入など、環境問題への関心も高まっています。設備設計の需要は今後も高まります。